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経営者協会便り


2008年8月号(一部抜粋)

エプソンの元社員に過労死労災認定
東京高裁、海外出張で疲労蓄積と判断


 今年5月22日東京高裁は、くも膜下出血で死亡した元エプソン社員の遺族が起こした労災認定訴訟で、一審の長野地裁が棄却した判決を取り消し、労災であると認めました。
 脳血管疾患や虚血性心疾患等による死亡(いわゆる「過労死」は、労災であるかどうかの認定が非常に難しい上に、今回のケ-スでは、現在の厚生労働省の認定基準である月45時間を超える長時間残業はなかったものの、度重なる海外出張が疲労を蓄積させたとして、労災を認めました。


 そもそも労災は、業務に起因する傷害について支払われるものですが、過労死の場合、目の前で発生した事故による負傷などと違い、果たして業務によるものなのか、本人のもともとの病気によるものなのかなどが、判断しにくいのです。例えば、「じん肺」などの職業性疾病といわれるものは、特定の職業に就いていた者が発症しただけでも業務に起因したものと推定することになっています。しかし、過労死の場合、このような職業性疾病に定められておらず、また、本人の体質や生活習慣に影響されるところが大きいことからも,行政では客観的な判断基準を定めて労災認定を行っているところです。

 過労死については、以前から認定が争われるケ-スが多かったため、厚生労働省は平成7年に認定基準を定めました。その後、横浜南労基著長(東京海上横浜支店)事件(最一小平12.7.17)判決を受け、平成13年の改訂では、①長期間にわたる疲労蓄積の考慮、②労働時間の評価の目安,③業務過重性の具体的判断要因(不規則な勤務、交代制勤務など)を示したものとなっております。(下記表参照)

 本件では、時間外労働が月30時間未満と認定基準「発症前6ヵ月に月45時間超」に満たないものの、死亡直前の1年弱に10回、計183日にわたり海外出張を強いられており、長時間の移動や不規則な睡眠により疲労が蓄積したとして、労災を認めました。


過労死の認定要件(次の順位で判断していく)

業務の状況
概要
異常な
出来事
発症直前から前日までの間(24時間)において、発生状態を時間的および場所的に明確にしうる異常な出来事に遭遇
短期間の
過重業務
発症に近接した時期(おおむね1週間)において、特に過重な業務に就労。
長期間の
過重業務
発症前の長期間(おおむね6ヶ月間)に渡って、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労(時間外労働が発症前1~6ヶ月に月45時間以下、関連性弱い。発症前1ヶ月に月100時間超もしくは前2ヶ月に月80時間超、関連性強い)。