就業規則サポートNO1サイト

労働問題Q&A

裁量制だと勝手に判断し、上司の許可なく休日振替できるか?

未加入事業で年金対象の災害費用徴収いつまでか?

社員が勝手に労災請求したが補償実施が必要か?


定年時再雇用、5年契約でも退職自由?

遅刻に応じて、月給と賞与の二重カットは可能ですか?
 
解雇予告は年休消化を待ってから行う必要がありますか?

選挙の立候補準備に年休を与えるか?

出向、配置転換、転勤、転籍、移籍出向は会社の命令で出来ますか?

同一疾病か再発かの判断基準(健康保険・療養の給付)

 関連会社に出向する場合は、健康保険の被保険者資格は喪失になるか?

一年間病気休職している人の健康保険の被保険者資格は?

4月1日付で採用した社員が、本人都合で5月10日から出勤した場合の健康保険の資格取得年月日は

新たに使用されることになった者が、当初から自宅待機とされた場合の被保険者資格は

採用内定を取り消せるか?

残業で夜食の買い出しに行き交通事故に、労災認定は?


月給制で、欠勤や遅刻・早退で賃金カットする場合、月の所定労働時間で割ることになるのか?

仕事の性質上緊急呼び出しの可能性がある場合の賃金は?

「病気」で会社から休職を命じられたら?

12月1日で、今年40歳になるAさんの1回目の介護保険料は、何月分の給料から徴収されますか?

住み込み従業員の家賃、食事代を差し引いて賃金を支払っても問題ないか?


上司に休日の接待ゴルフに誘われました。断ってもいいですか?


インフルエンザにかかって発病している社員を出勤停止にできるか?

自転車で通勤したいのですが、注意点はありますか?

健康診断費用は事業主が負担すべきか?人間ドックを希望する者についても全額負担すべきか?

社内でセクハラがあった場合、会社も損害賠償をしなければならないか?


採用した労働者がすぐに辞めてしまった場合、採用に要した費用(新聞広告代、社宅代わりに会社が借りたマンションの敷金相当分など)を損害賠償として請求できるか?

セクハラに該当する?

ハローワークで求人を出す際、「健康で明朗快活な方」という表現は可能でしょうか?

始末書を出させることができるか。始末書を出さないことをもって、もう一度処分できるか?

賃金の支払い方法を定めたルールがあるって、本当ですか?

退職時点で、残っている年休を買い上げることができるか?

請求時期など手続きに違反して請求した年休を認めなかった場合、違反になるか?





 専門業務型裁量労働制の職場で、従業員が自分の勝手な判断で休日を振り替えた場合、会社は認めなければならないのでしょうか?

 


 
 

勝手な休日の振替は認める必要がありません。

裁量労働制は、業務の遂行手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととされていますので、出勤時間・帰宅時間は労働者が自由に決めることができまが、休日の位置を変える権限はありません(平成12・1・1基発第1号)。就業規則に休日を振り替える旨の規定を設けていたとしてもその必要があるか否かを判断するのは使用者です。

週をまたいでの振替となった場合には割増賃金の支払いが必要となる可能性もありますので、休日、深夜労働については勝手に行わず、上司への事前の届出、許可・承認の上で行うようルール化しておくことが大切です。





 労災保険の未手続き事業者には、事故が発生した時は100%の費用徴収が行われると聞きました。遺族・傷害補償年金の対象になる災害を起こした時は、受給権者が亡くなるまで100%の徴収が続くのでしょうか?

 


 
 
 労災保険の未手続き事業場で事故が発生した場合でも、労働者に対する保険給付は行われます。ただし、その費用の全部または一部を事業主から徴収します。徴収割合は下記のようになります。

●保険関係成立届の提出について行政機関等から指導を受けたにもかかわらず、10日以内に成立届を出していない場合・・・100%
●事業開始後1年を経過してなお成立届を出していない場合・・・40%

 療養開始した日(即死の場合、発生の日)の翌日から3年以内に支給事由の生じたものに限られます。
 遺族・障害補償年金等についてもこの期間中に支給事由が生じ、かつ、この期間に係る分のみが費用徴収の算定ベースになります。





 社員が会社の意向に反して、勝手に労働基準監督署へ行き、労災請求して認定されました。労働基準監督官から休業最初の3日間の休業補償をするように指示されましたが、補償をしないといけないでしょうか?

 


 
 
 疾病が業務に起因していることが明らかであれば、労災保険法第14条より労災保険からの休業補償給付は「第4日目から支給する」とあるので、休業最初の3日分については、労働基準法第76条より会社に支払いの責任があるとされてます。
 労災保険給付決定は、会社や第三者にまで労災扱いを強制する力はありませんが、3日分の休業補償をが行わなければ、労働基準法第76条として送検されます。
 会社として、その疾病が労災ではないと考えているのであれば、労働基準監督署に労災決定理由について納得がいくように、説明を求めてみてはいかがでしょうか?




 60歳の定年到達後、従業員に安心感をあたえるため、65歳までの5年契約を結ぼうとしています。当人が途中で退職をしたいと申し出た場合、どうなるでしょうか?

 


 
 
 原則、期間を決めて労働契約を結ぶ場合最長3年までと定められていますが、「満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約」は最長5年まで認められています。(労働基準法第14条)

 当面の間、1年を超える労働契約が締結された場合、「労働者は1年を経過した日以後においては、いつでも退職することができる」(労働基準法第137条)とされていますが、期間5年が適用される高度専門職、60歳以上の高齢者には、適用されません。
 よって、民法第628条が適用され、「やむを得ない事由があるときに限り」契約を解約できますが、損害賠償請求の可能性もあります。

 契約の双方が同意すればもちろん契約解除も可能ですが、就業規則などに退職のルールを盛り込むのが良いでしょう。


 


 遅刻した場合、ボーナス規程で出勤率の評価に加えて、遅刻回数に応じて減給するのは賃金の二重カットにあたりますか?

 


 
 

遅刻した場合、時間対応で賃金カットを行う事は減給の制裁に該当しない一般的な対応です。しかし、「遅刻に対応する時間を超える減給」は制裁とみなされますので、注意が必要です。
「遅刻・早退の時間については賃金債権が生じないのであるからその分の減給は労働基準法91条(減給の制裁)の制限を受けない」(昭和63.3.14基発第150号)

賞与を支払う場合、「賞与とは、定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもの」(昭和22.9.13基発第27号)ですので、出勤率の評価に加え、遅刻の回数に応じて減額しても問題はありません。

減給の制裁を行う場合、賞与から一定額を差し引くことも可能ですが、「1回の事由について、平均賃金の2分1を超え、また、総額について10分の1を超えてはならない」(労働基準法91条)という制約を受けます。

よって、このケースは時間対応で賃金をカットして賞与でマイナス査定をしても賃金の二重カットにはあたりません。 




 30日前に解雇予告をした所、労働者より残った5日の年休消化後30日をカウントすべきだと主張されました。解雇日をずらすと、一か月分の社会保険料の負担が発生してしまうのでどうすればよいでしょうか?

 


 
 

 行政解釈では、「年次有給休暇の権利は、予告期間中に行使しなければ消滅する」(昭和23.4.26基発第651号)とされていますので、年休の取得日数も含め、30日前の解雇予告でよいでしょう。仮に、年休の残日数が多く、予告後30日の間に全て年休を消化できなくても法的には問題はありません。

<労働者の意を汲んで、有給消化後からカウントする場合>
 労働基準法20条第2項に、「予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することが出来る」とあります。よって、25日前に予告して、5日分の解雇予告手当を支払えば、予定どおりの日付で解雇が可能です。
(解雇予告と予告手当の併用) 

 法的な義務は存在しない点を相手に説明した上で、円滑な解決を図るのが大切です。




 選挙に立候補するという「公民権の行使」の為、準備期間も含め3週間の年休を請求された場合、準備期間も休暇を与える義務はあるでしょうか?

 


 
 

「選挙準備」を理由とする場合
通常の年休請求と同じ処理が可能です。
従業員が事前に調整をしなかった場合、使用者にある程度の「時季変更権」が認められた判例があります。
(時事通信社事件=最判 平4.6.13)

「公民権の行使」として休暇を請求された場合
当選のために必要な法定期間中の選挙運動は、広く公民権に含ませて考えるべきと解されています。(労働基準法コンメンタール)
労働基準法第7条にも有るように、法定期間中の休暇は与えるべきですが、「有給か無給かは当事者間の自由」とされていますので、無給で処理が可能です。

労働基準法第7条
「公民としての権利を行使するために必要な時間を請求した場合、拒んではならない」

補足:裁判員制度による休みも「公民権の行使」にあたるので、同様の処理が可能です。





 出向、配置転換、転勤、転籍、移籍出向は会社の命令で出来ますか?

 


 
 

出向・配置転換・転勤の場合
 労働者と個別の特約がない限り、通常の人事と同じなので可能です。

転籍・移籍出向の場合  
 労働関係そのものが変更になるので、労働者本人の同意がなければできません。
(民法第625条第1項より)
 ただし、「会社分割に伴う労働契約の継承等に関する法律」による転籍は、労働者本人の承諾がなくても可能です。





   同一疾病か再発かの判断基準(健康保険・療養の給付)

 


 
 
 

 再発とは、疾病が一度治癒したと認められる必要があります。治癒は、必ずしも医学的な判断のみによらず、社会通念上の判断で、認められることも必要です。
 通常、再発の場合は、前症の受給中止時の所見、その後の症状経過、就業状況等調査の上で認定されることになっています。
(昭和30年2月保文発第731号)

 したがって、以下の要件が満たされていたもので後日同一部位が悪くなり、療養を必要とすることになった場合、再発として取り扱われます。(昭和26年12月保文発第5698号)

①自覚的症状がなくなること
②医師の診断により客観的症状も認められないこと
③診療が終了したこと
④医師が就業可能と認めたこと
⑤一般的に日常生活に異常がないと認められること
⑥療養を中止してから相当期間労務に服していること





  関連会社に出向する場合は、健康保険の被保険者資格は喪失になるか?

 


 
 
 

 出向の意味によって、取り扱い方が異なるので、注意が必要です。

①従来勤務していた事業所と使用関係が消滅し、出向先と新たに使用関係が生じる場合
⇒従前の事業所の資格を喪失し、出向先で資格を取得します。

②従来勤務していた事業所との使用関係も存続させながら、
出向先においても使用関係が生じる場合
⇒二以上の事業所に勤務することとなり、保険者をどちらか選択します。
(二以上事業所勤務届を作成)

 従前の事業所においても使用関係が存続するということは、ただ単に身分が残っている、一定期間を経過した後に帰る予定になっている、従前の事業所と退職金の期間計算がされる等の理由ではありません。事実上の使用関係がのこっているか否かで、判断していただく必要があります。



 


 一年間病気休職をしている人の健康保険の被保険者資格は喪失させてもいいでしょうか?会社からの給与支払いもなく、社会保険料の控除もできていない状態です。

 


 
 
 

 被保険者の資格喪失は、業務に使用されなくなった場合に行うもので、欠勤している、給与の支払いがないという単純な理由ではできません。

 しかし、長期間休職の状態にあって無給が長く続き、職場への復帰も見込めないような人は、事実上の使用関係がないものとして、被保険者資格を喪失させることとしています。
(昭和25年11月保発第75号ノ2より)

 給与支払いがなくても、被保険者資格がある限り、事業主には保険料の納付義務がありますので、被保険者から保険料の控除が出来ない場合は、事業主と被保険者の双方で相談して処理をする必要があります。




 4月1日付で採用した社員が、本人都合で5月10日から出勤した場合の健康保険の資格取得年月日は?

 


 
 
 

 健康保険の被保険者資格を取得する日は、事業所との間に使用関係が生じた日です。
採用の辞令が交付された日と使用されるに至った日は、必ずとも一致するとは限りません。実際の使用関係がどうなっているかによって資格取得日は変化します。

 4月1日から会社との間に使用関係が生じて、4月分より給与の支払いが行われた場合
⇒4月1日資格取得

 辞令が交付されたということだけで給与の支払いも行われず、5月10日になって初めて使用関係が生じ、その日以降から給与もその日以降から支給される場合
⇒5月10日資格取得





 新たに使用されることになった者が、当初から自宅待機とされた場合の被保険者資格は?

 


 
 
 次の両方を満たしている場合は、被保険者の資格を取得させます。
・雇用契約が成立している。
・労働基準法第26条の規定に基づく休業手当または、労使協定等に基づく報酬が支払われる。
起算日:休業手当または、報酬の対象となった日の初日

※補足
 ○一時帰休(被保険者を一時的に休業させること)中の者の被保険者資格
⇒上記の手当が支払われる場合は、被保険者の資格は存続させます。

 ○育児休業(育児・介護休業法第二条第一号による休業)中の者の被保険者資格
⇒休業直前の標準報酬月額に基づき算定する保険料の本人分が申出により免除されるが、使用関係が消滅しない限り、被保険者の資格は存続させます。




 採用内定を取り消せるか?

 


 
 
 採用内定期間中に、誓約書等その他会社が必要とした書類の未提出や、採用予定日までに卒業できないなど解除条件の成就により採用を取り消す場合は、正当な解約権の行使として問題はないが、健康上の理由、履歴書等による虚偽の記載や発言、犯罪行為のあったとき、暴力団との関係のあるとき、採用を取り消すべき経営上の理由があったとき、などの理由で採用を取り消す場合は「解雇」に該当するので、解雇予告の手続きが必要。
 また、会社側からの取り消し事由については「客観的に合理的で社会通念上相当であること」が必要とされているが、上記内容については正当事由となろう。いずれにしても採用内定通知書に取消事由を明示しておくことは必要である。
 なお、所定の入社日を繰り延べる場合は「会社都合による休業」となり平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが必要となる。また、学卒者の採用内定取消、内定期間延長のときは、学校若しくは職業安定所長に通知が必要。(職安法第54条、同法施工規則第35条)。





 残業で夜食の買い出しに行き交通事故に、労災認定は?
 20代男性会社員。急な残業が入り、深夜まで働くことになった。腹が減ったため、近くのコンビニエンスストアに夜食の買い出しに行ったところ、交通事故にあった。残業時間中の事故なので、労災認定をしてもらえるだろうか?

 


 
 
 労災認定のカギをにぎるのは、業務遂行性と業務起因性の2つが認められるかどうかだ。夜食をとらなければ業務効率が上がらなかったことや、夜食の買い出し時間中も会社の管理下にあったことの立証が必要だ。
 残業の量が多く、本当に深夜まで働かなければならなかったかは検証が必要。だらだらと過ごして仕事が深夜に及んだのなら、業務との関連性は薄い。事業所内に食堂や買い置きの食べ物がないなど、他の選択肢の有無もポイントとなる。
 就業時間外や事業所外の災害は、事業主の管理下にないのが一般的だ。昼休み中に事業所外のレストランに行って事故が起きた場合は、業務時間外の私的行為で、労災は認められにくい。労働問題に詳しい弁護士は、「夜食の買い出しは、原則的に私的行為で、労災認定は難しい」とみる。
 単純に、自分の夜食を購入するために出かけただけなら、労災には当たらないと見るべきだろう。事業所内に食堂などがなく、上司から買い出しを頼まれた場合は業務命令とみなせる余地もあるが、同僚らの夜食を買いに行って事故にあっても、労災とは呼びにくい。
 2008年2月の岐阜地裁の判決は、同様の事例で労災を認めたが、通常予定されていない突発的な事態での行為を対象とした。この事例では、労働者Aは、02年1月2日、非番だったものの、夜勤を命じられた弟Bと一緒に工場に出勤した。Bの夜食が手配されていなかったため、AはBの依頼で、近くのコンビニにBの弁当を買いに行き、工場に戻る途中で交通事故にあった。
 岐阜地裁は、本来は用意されているべきBの夜食が用意されていなかったことを突発的事態と指摘し、Aが夜食を手配するリーダーに代わり、夜食の手配業務をやったことは、同じ工場に勤務する労働者として合理的に期待される行為だったと判断した。
 業務遂行のために特別な事情があったと主張できる根拠がなければ、労災を認められる可能性は低い。職場をめぐるトラブルに詳しい弁護士は、「残業中の出来事がすべて労災とは限らない」と注意を促している。

ポイント
①業務上必要な行為だったか【業務遂行性】
②業務上必要な行為により事故にあったか【業務起因性】





月給制で、欠勤や遅刻・早退で賃金カットする場合、月の所定労働時間で割ることになるのか?

 


 
 
 欠勤等の控除の計算方法は、①月決め賃金÷一か月の平均所定労働日数(時間数)②月決め賃金÷その月の所定労働日数(時間数)の二つの保方法がある。
 理論上は①が正しいが、②でも法違反にならない。なぜなら、月によって金額が異なっても、年間ベースで見れば不公平はない。実際は②の方が計算しやすい。
 ここでは、基本給からの控除のみとした。他の月決めの手当を控除の対象賃金とすることも可能。




仕事の性質上緊急呼び出しの可能性があるため、労働者を就業時間外及び休日に自宅又は連絡可能な状態に待機させているが、賃金の支払いが必要か?

 


 
 
 労働時間とはみられないので、賃金としての支給は不要。ただし、一般的には「待機手当」のようなものを支給している。賃金規則に記載する場合は、「待機手当 緊急の事態に対処するために自宅待機した者に対して、平日日額500円、休日日額1000円を支給する。」と定めればよい。なお、この手当は通常の労働に対する賃金ではないので、割増賃金の計算の基礎には算入しなくてよい。





 

「病気」で会社から休職を命じられたら?

 


 
 
 家庭の事情など仕事とは関係ない理由でうつ病となり、これまで通り職務を続けていくのが難しくなるケースがあります。本人は働けるとおもっていても、会社を休むように言ってきた場合、どうすればいいでしょうか。
 法律にはいわゆる私傷病休職に関する規定がなく、多くの会社は就業規則で独自に規定を作っています。これまで通り働けなくなったからといって、すぐに解雇せず、一定の治療期間を与えて再び働いてもらえるようにするのが、労働者にとっても会社にとっても有益です。私傷病休職規定は解雇猶予規定といわれることもありますが、規定があるのをいいことに会社がむやみに労働者に休職命令を出すことは許されません。
 建築工事の現場監督を長年していた原告が、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドー病のため配置転換を求めたら、4カ月の自宅療養を命じられ、その間の賃金が不払いだったという事例がありました。現場監督は職種限定の採用ではなく、入社後にたまたま就いたにすぎません。負担の軽い仕事なら可能と申し出たのに、会社は拒絶し、休職を命じたのです。
 最高裁判決は、現場監督ができないまでも他の業務ができるなら、傷病休職を命じる前に軽い仕事を検討すべきだとしました。軽い仕事とはいえ、ベテランが新人のような仕事でいいかというと、それは極端。経験や能力、会社の規模などに見合った範囲で判断されることになるでしょう。うつ病ならば、残業の免除など業務量を調整してもらう方法もあります。
 会社の休職命令が適切かどうかの判断では、病気の程度が重要。その資料として通常は医師の診断書が欠かせません。受診や医師の選定などは原則として労働者の自由ですが、会社が健康状態を把握しようとするのに、正当な理由なく協力しない場合は解雇となる可能性があります。診断書の内容に疑問を抱く合理的な理由があれば、会社指定の医師に受診すべきだと判断した裁判例もあります。
 うつ病でも休まずに仕事を続けられると主張したいのであれば、症状を正確に会社に理解してもらえる診断書を提出した上で、業務量の調整やストレスの少ない部署への異動などを話し合うべきでしょう。

<ポイント>
・むやみに労働者への休職命令をだすことは許されない
・会社は休職を命じる前、負担が軽い仕事への変更検討
・医師の診断書などを求められた場合はきちんと応じる




 

12月1日で、今年40歳になるAさんの1回目の介護保険料は、何月分の給料から徴収されますか?①11月分 ②12月分 ③来年1月分の給料

 


 
 
 
 介護保険には第1号被保険者(65歳以上の人)と、第2号日保険者(40歳から64歳までの人のうち健康保険など公的医療保険に加入している人)がいます。Aさんの場合、12月1日で40歳になれば、第2号被保険者となり、介護保険料を支払う義務が生じます。
 第2号被保険者の介護保険料は健康保険料と一括して毎月の給料から徴収されます。Aさんは12月に40歳になるので、12月分の給料から介護保険料が徴収されるのではないかと多くの人は考えるかもしれませんが、実際の徴収は11月分の給料からになります。
 「年齢計算に関する法律」によって、年齢が加算されるのは誕生日の前日の午後12時と定められています。Aさんはこの法律の上では12月1日の前日の11月30日に年齢が加算されて、40歳になります。このため、介護保険料を支払う義務は11月から生じているので、11月分の給料から保険料が徴収されることになります。12月2日生まれだと、法律上12月1日から年齢が加算されるので、12月分の給料からの徴収です。
 



 

住み込み従業員の家賃、食事代を差し引いて賃金を支払っても問題ないか?

 


 
 
 労働者代表との「賃金控除協定」を締結しておけば問題ない。




 

上司に休日の接待ゴルフに誘われました。断ってもいいですか?

 


 
 
 事情説明し理解求める必要があります。
 接待ゴルフには2種類あるので注意してください。
 1つは会社が業務の一環として実施するゴルフ。この場合、「参加しなさい」という上司の誘いは「会社による業務命令」とみなされます。多くの会社は就業規則に「業務命令として従業員を時間外・休日勤務させることができる」といった規定を設けており、この休日勤務にあたるわけです。出勤扱いになり、手当もでます。
 断れば業務を怠ったと見なされ、勤務評定に響くケースもあり得ます。
 しかし一般的な休日の接待ゴルフは、正式の業務ではなく、出勤扱いにならないケースが多いのも事実です。この場合、業務ではありませんから、私的な理由でも断ることができます。上司にも参加を強制する権利はありません。
 とはいえ、取引先とのコミュニケーションの円滑化など、非公式の接待ゴルフにも一定の効果は期待できます。断ることのメリット・デメリットを考慮すれば、かたくなに断るのも得策ではないのかもしれません。




 

インフルエンザにかかって発病している社員を出勤停止にできるか?

 


 
 
 安衛法第68条は伝染性の疾病等にかかった労働者の就業禁止を規定しているが、労働安全衛生規則及び通達で、感染症法で予防措置がとられるものは、安衛法では対象としていない。(1類~3類感染症患者及び無症状病原体保有者[1~5類感染症、指定感染症、新感染症の病原体を有している者で症状を呈していない者])については、飲食物の製造、販売、調整又は取り扱いの際に飲食物に直接接触する業務について、エボラ出血熱、ジフテリア、SARSなど他者の身体に直接接触する業務や多数の者に接触する業務について、それぞれ都道府県知事が就業制限を行うこととされている。(感染症法施行規則第11条)
 したがって、4類、5類感染症の疾病で上記に該当しない業務について安衛法に基づく就業禁止の対象となる。インフルエンザは5類感染症に分類されているので就業禁止が可能であるが、実際に就業禁止にする場合は産業医その他専門医の意見を聴かなければならないことになっている。(安衛則第61条第2項)この場合、法的には賃金の支払い義務はない。


 

 自転車で通勤したいのですが、注意点はありますか?

 


 
 
 交通費、支給停止が大半です。
 健康促進を兼ね、できるところから地球環境への貢献を始めようと、自転車通勤に切り替える人が増えています。しかし、会社によっては、駐輪場がないため自転車通勤を許可していないところもあります。本社以外の事業所に限って認めていたり、雨など天候の悪い日は禁止していたりと、細かく条件を設定している会社もあります。まずは社内規定を確認しましょう。明記していない時は、総務部門などに問い合わせれば答えてくれます。
 これまで電車やバスなどで通勤していた場合、交通費は支給されなくなる場合がほとんどです。手当が出る会社もありますが、月額2000円程度の少額になるのが一般的です。
 事故などのリスクにも注意が必要です。通勤途中の事故なら基本的には労災保険の対象ですが「寄り道」中の事故は認められません。また、法律上自転車は自動車と同じ車両とみなされますから、人にケガをさせ、賠償責任を問われることもあり得ます。
 自転車の普及を推進する自転車文化センターの谷田貝一男氏は「通勤に毎日利用するなら損害保険に入るべき」と指摘しています。自転車販売店などでは、整備と簡易な保険をセットにしたサービスもあります。自転車通勤を始める前に、検討してみてはどうでしょう。



 

 健康診断費用は事業主が負担すべきか?人間ドックを希望する者についても全額負担すべきか?

 


 
 
 健康診断の費用は会社負担である。ただし、労働者が会社の健診を希望せず自己の希望する医療機関で受診しその結果証明書を会社へ提出したときは、会社は健診義務を免れる。成人病健診や人間ドックを希望する者についての差額は労働者負担としても差し支えない。



 

 社内でセクハラがあった場合、会社も損害賠償をしなければならないか?

 


 
 
 男女雇用機会均等法第21条(改正法第11条・平成19年4月1日施行)ではセクハラに起因する問題について雇用管理上配慮することを義務づけており、また、厚生労働大臣は事業主の配慮すべき事項として、事業主の方針の明確化と周知・啓発、苦情相談窓口の設置、事案が生じた場合の迅速・適切な対応などを定めている。したがって、これらを適切に実施していないと義務違反に問われ損害賠償もあり得る。



 

 採用した労働者がすぐに辞めてしまった場合、採用に要した費用(新聞広告代、社宅代わりに会社が借りたマンションの敷金相当分など)を損害賠償として請求できるか?

 

 

 
 
 可能性がないとはいえないと思われるが、裁判で認められたケースは希である。
東京地判平成4.9.30 ケインズインターナショナル事件:特定業務のため採用した労働者が短期間で退職したために、契約を打ち切られた事例で、得べかりし利益の7%、労働者の退職後に労働者が損害賠償として支払う旨合意した金額の3分の1だけ認められたケースがある程度である。


 

 セクハラに該当する?
 40代の男性管理職。部下の女性社員がにおいの強い香水をつけている。職場の仲間も気にしている。上司として、香水について女性に注意することがセクシュアル・ハラスメント(=セクハラ、性的嫌がらせ)にならないが心配だ。

 

 

 
 
 外資系企業の法務部勤務経験がある森原憲司弁護士はセクハラについて「相手がセクハラと感じ」、かつ客観的にも「違法か、違法でないとしても人の価値観や社会通念に反する行為」を指すと説明する。最近は「違法でないからセーフとか、女性が嫌がるからアウトなどと判断基準を勘違いしがちだ」(同弁護士)と指摘する。
 この基準によれば、相談例の場合は原則、セクハラには該当しないという。職場の環境や秩序を乱す恐れがあるため上司の責務で正す必要がある。客観性を保つため、本当ににおいは強いか職場の仲間に確かめるべきだ。
 では、外勤の営業担当者の場合はどうか。労働問題に詳しい中村克己弁護士は「勤務する会社の看板を背負って仕事をするので、においに対する許容度は内勤に比べて低いだろう」と話す。会社の印象が悪化し、顧客が離反しかねないからだ。とはいえ、従業員の身なりについて注意することは「企業秩序の維持を目的とした『労働者の自由の制限』にかかわる」(中村弁護士)。だが、業務に支障をきたす場合を除き、業務命令として禁止することはできないという。
 身なりに関する就業規則違反をめぐる処分について判断した裁判例がある。トラック運転手が茶髪などを理由に解雇された事例で、1997年に福岡地裁小倉支部は「企業が秩序の維持を名目に労働者の自由を制限する場合、制限行為の内容は必要性・合理性・手段方法としての相当性を欠くことがないよう特段の配慮が要請される」などと判断し、解雇は無効とした。
 セクハラにならなくても、注意の仕方に気をつける必要がある。森原弁護士によると「気に入らない」と言うのはもってのほかだ。「香水をつけなくても魅力的」と言うのはセクハラになりかねない。女性の管理職と一緒に注意するのも一法だ。

*セクハラの主な定義
   
 社会学的には、歓迎されない性的言動または行為により屈辱や精神的苦痛を感じさせてりすること、性的な言動または行為によって相手方の望まない行為を要求し、これを拒んだ者に対し、職業、教育の場合で人事上の不利益を与えるなどの嫌がらせに及ぶこととも定義される。(97年、東京地裁判決)
   
①犯罪となるもの
(例)レイプ、痴漢、性的うわさを流すなどの名誉棄損、ストーカーなど
  
②民事上違法と判断されるもの
(例)食事やデートに執拗に誘う、わいせつ文書を送りつけるなど

③法的に違法とまではいえないが、人々の価値観や社会通念に反する行為
(例)女性だけに私用を頼む、カラオケのデュエット、お酌をさせるなど

  
*ポイント
①職場の環境や規律を正すのは、基本的には上司の責務
  
②注意の仕方や言い方によっては問題になる場合も




 

 

 
求人で「健康で明朗快活な方」という表現は可能でしょうか?

 

 

 
 
主観的判断になりがちな採用基準ですので避けてください。同様に「明るい人」「元気な人」などの性格的特性を示す表現は、見る方の主観的イメージによって左右される非常に曖昧で不確実なものです。
 たとえば、「明るい人」ではなく、教育・訓練で培うことのできる「明るい接客ができる方」などの表現なら、客観的評価が可能になります。応募してくる方の働きたい意思を尊重し、仕事の適性で選考するよう心がけてください。
 求人を出す際には、主観的判断になりがちな採用基準は避け、職務の遂行に必要な「資格・経験・能力」など客観的、総合的な評価が出来るものにしましょう。




 

 
始末書を出させることができるか。始末書を出さないことをもって、もう一度処分できるか?

 

 

 
 
「始末書を提出させて~する」というのがあるが、始末書の不提出をもって再度処分することはできない。
  なぜなら「労働者は使用者から身分的、人格的支配を受けるものではないので、謝罪を強制する始末書
  は個人意思尊重の理念から強要することはできない(高松高判昭46.2.25丸住製紙事件)」とされている。
  始末書ではなく「顛末書」や「報告書」ならば業務命令としてできる。




 

 
賃金の支払い方法を定めたルールがあるって、本当ですか?

 

 

 
 
賃金払いの法定5原則

 本当です。意外と知られていませんが、労働基準法は、賃金の支払い方法について、五つの原則を定めています。雇用主は次のようなルールに沿って、労働者に賃金を支払わなくてはいけません。
 一つ目は「通貨払いの原則」です。労働協約などで別途定めがある場合を除き、通貨で支払うこととなっています。口座振込みで支払う場合には、労働者の指定する本人名義の口座に振り込むなど、一定の要件を満たす必要があります。
 二つ目は、労働者本人に賃金を支払わなくてはならないという「直接払いの原則」です。労働者が未成年の場合でも、親や後見人、代理人に支払うことはできません。
 三つ目は「全額払いの原則」です。税金や社会保険料など法で定められたもの意外を賃金から差し引く場合は、雇用主は、労働組合などと労使協定を結んでおく必要があります。
 このほか、賞与など臨時的に支払われるものを除き、賃金は「毎月1回以上払う」という原則と、「一定の期日に支払日を決めて支払う」という原則があります。


 

 

 退職時点で、残っている年休を買い上げることができるか?

 

 

 
 
 買い上げ制度によって年休取得ができない(与えない)、あるいは制限されるということであれば違法となる。例えば、退職時に全部を請求したが、買い上げ制度により、一定日数しか認めないというのは違法となる。一方そのような制限がなく、退職時点で残った年休を清算的に買い上げることは違法ではない。またその場合の買い上げ金額を幾らにするかは自由。






 

  請求時期など手続きに違反して請求した年休を認めなかった場合、違反になるか?

 

 

 
 
  請求時期については、法は何も記載していない。したがって解釈上は時期変更権が行使できる前日の終業時刻までとされている。ただし、業種、業態によっては、直前の請求では仕事に穴があくことも予想され、合理的な範囲での制限は可能と思われる。判例では、10人程度の規模の運送業で、「3日前までに請求」の制限について合法とした判決、前々日までに請求しなければならないという規定を有効とした判決がある。