就業規則サポートNO1サイト

労働問題Q&A

労基署からの是正勧告に従わない場合どうなりますか?

年休の事前申請はいつまでにすればよいか?

海外赴任時の年金・保険は?

労働災害、通勤災害のポイントは?

年次有給休暇制度の運用上の注意点は?

配置転換は会社側が一方的に業務命令で行うことができるか?

裁判員になったら会社休めるの?

遅刻:罰として賃金カットされる場合とは?

企業内人事異動の場合、本人の同意は必要ですか?

休日 出張した場合の休日手当の支払いは?

退職の撤回は可能か?

 




 

労基署からの是正勧告に従わない場合どうなりますか?
 監督署から労働基準監督官が調査に来て、割増賃金の遡及支払いと機械設備の改善の「是正勧告書」を交付されました。勧告に従わない場合どうなりますか?異議を申し立てることができますか?

 

 

 
 
 監督官の調査(監督署では、「臨検監督」と呼んでいる。)は、労基法などに基づく立入権限によって行われている。そして、法違反などがあれば使用停止等命令書や是正勧告書、指導票を交付する。使用停止等命令は、設備などの使用の停止や改善の命令で、労働安全衛生法等に基づく行政命令であるから改善しなければ命令違反として送検される。
 是正勧告は、是正までの期間を猶予した勧告であり是正しなければ送検されることがある。行政命令ではなく行政上の勧告である。是正勧告に対して是正報告書の提出を求められるが、提出しない場合や虚偽の回答をした場合は法違反になる。指導票は法違反事項ではなく、通達やガイドラインの観点から望ましい実施事項を指導するもの。是正勧告、指導票は行政処分ではないので異議申し立てはできない。使用停止等命令については異議申し立て(正確には「審査請求」)できる。
 なお、労働基準監督官は立入権限を有するほか、単独で設備等の使用停止命令や、司法警察員として逮捕、捜索差押えを含む捜査・送検などの権限を有している。





 

年休の事前申請はいつまでにすればよいか?
工場勤務の40代女性。職場では勤務シフトを決めるため、年次有給休暇は取得希望日の前週末までに申請しなければ認めないという規則がある。病気などやむを得ない場合は別だが、家族の都合などを理由とした急な予定変更はできず、困っている。事前申請制度は問題がないのだろうか?

 

 

 
 
 労働基準法では、6ヵ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には10日間の年休を与えることになっている。最高裁は労働者があらかじめ取得日を指定して請求すれば、原則として年休は認められると判断している。
 ただ例外があり、同法では使用者の権利として「時季変更権」も認めている。例えば、同じ職場の労働者が一斉に同じ日に取得してしまうと、通常の業務に大きな支障が出る。こうした理由があれば、使用者は時季変更権を行使して取得日を変更できる。

 相談例のような事前申請制度では、労働法務に詳しい弁護士は「年休日の指定を受けた会社側が、時季変更権の行使を判断する時間があるかどうかが問題となる」と説明する。
 実際の裁判例では、「年休の申請は取得する希望日の前日正午までに書面で申請しなければならない」という就業規則について、神戸地裁は1997年、「労働者が取得日を指定する権利に著しい影響を与えず、合理的」と判断している。勤務シフトを組むような職場で「前々日までに申請しなければならない」という就業規則があったケースでも最高裁は「労基法違反ではない」と認めている。

 一方、1人当たりの乗務時間に上限のあるパイロットのように、突然の年休取得によって代替要員の確保が難しい職種では「年休取得は前月17日までに事前申請するよう求めている」(ある航空会社)という。ただ「病気を含めて突然の年休請求に対応できるように補助要員も勤務シフトに入れている」(同)のが実情だ。
 
 弁護士は「会社側が時季変更権を行使するか判断する時間を考慮しても、通常は前日正午ぐらいまでの申請であれば問題ないだろう」としている。シフト制などを理由に会社が期限を設定する場合でも「2日前程度が限度。ぎりぎりの人員配置などの事情があったとしても、前週末までに申請しなければ原則として年休を認めないという制度は、労基法違反の可能性が高い」(同弁護士)という。





 

海外赴任時の年金・保険は?
海外赴任する場合の、公的年金や健康保険についての取扱いはどうなるのでしょうか?

 

 

 
 
 日本の社会保険が適用されない海外子会社に転籍する場合でも、日本国籍をもつ20歳以上65歳未満の人は、国民年金に任意加入できます。
 日本国内の最後の住所を管轄する社会保険事務所で手続きをします。海外で勤務する間も「合算対象期間」になりますが、年金の受給額は、保険料を納付した期間と保険料によって決まるため、海外赴任の期間中も国民年金に任意加入することによって、将来の受給額を増やすことができます。
 ただし医療保険については、日本国内に住所がない場合、国民健康保険に加入できないため、これまでの健康保険を任意継続したり、民間の医療保険に加入する必要があります。海外赴任中も国内企業から給与が支払われるなら、これまでの厚生年金や健康保険組合などの被保険者資格を継続できます。
 日本国内に住所をもたなくても、資格を失うことはありません。仕事を持たない妻がいる場合、国内と同様、妻は「第3号被保険者」になります。





 

労働災害、通勤災害のポイントは?

 

 

 
 
 質問の多い労働災害、通勤災害の適用に関しての注意点です。

 ◆出向した社員の場合
  出向社員が、出向先の業務で怪我した場合、労災保険請求の手続きは出向先、出向元どちらで行うか迷うところですが、ポイントは指揮命令がどちらから出ていたかです。出向先が指揮命令を出していれば当然出向先になります。賃金がどちらから支払われていたかは関係ありません。

 ◆直行直帰が多い社員の場合
  自宅から得意先へ直行し、得意先を数件訪問後、自宅へ直帰することが多い営業社員が、自宅から得意先に向う途中で怪我をした場合は、自宅を出て最初の業務先へ着くまでの途中での事故は通勤災害になります。

 ◆飛び込み営業先に直行する社員の場合
  営業社員が飛び込み営業するため、自宅から現地へ直行する途中で怪我した場合は、自宅を出て帰るまでが業務です。したがって業務災害になります。

 ◆会社の規則に違反した社員の場合
  会社の規則で、「通勤には公共交通機関を利用すること」とされているのに、社員が車輌等を使用して事故を起こしたようなケースでは、会社の規則で懲戒処分を受けたとしても、合理的な経路を通っている限り、通勤災害は適用になります。

 いずれにしても思い込みで判断すると後で余計な手間がかかることになりますので、事故の連絡を受けたら、正確に聞き取り最寄の労基署か社会保険労務士にご相談ください。





 

年次有給休暇制度の運用上の注意点は?

 

 

 
 
 有給休暇の運用については、意外と悩まれている事業所が多いようです。そこで運用上の注意点についていくつか触れてみたいと思います。

     ◆比例付与
  正社員以外の従業員にも、有給休暇を取得する権利はあります。パートタイマー等については、週所定労働時間が30時間未満であって、かつ、週所定労働日数が4日以下又は1年間の所定労働日数が216日以下の従業員に対しては、労基法施行規則で定められた日数を付与しなければなりません。
  ◆時季指定権・時季変更権
  有給休暇は、原則として従業員が請求する時季に与えなければなりません。しかし、請求された時季に有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる」場合は、事業主の時季変更権が認められます。有給休暇は一定日数前に請求してもらうようにします。なぜなら事業主が時季変更権を行使するかを検討するために相当な時間が必要となるからです。
  ◆退職前の有給休暇消化
 
従業員が退職前に、残りの勤務日数分の有給休暇取得を申し出た場合は、上記の時季変更権が行使できないので、請求を認めざるを得ません。
  ◆買い上げ
 
法定を上回る有給休暇については、買い上げできます。また、退職や時効により結果として権利が消滅してしまう場合も、買い上げは可能です。
  ◆半日付与
 有給休暇を半日単位で与えなければならないという法律上の定めはありません。しかし半日単位で付与することは許されています。半日付与の制度を導入するかは事業所が判断すればよいことになります。

 有給休暇については、上手に運用しないと従業員の満足度は下がります。少なくとも以上の点に注意して、就業規則を整備するなど、職場のルールを明確にするようにしましょう。





 

配置転換は、会社側が一方的に業務命令で行うことができるか?

 

 

 
 
  勤務地が特定されている労働者に転勤を命ずるには、一方的な業務命令は出来ず、その都度労働者の同意が必要とされます。勤務地限定の明示がなく就業規則に転勤条項が規定されているなどの状況があれば、使用者は転勤命令権を有するといえます。

*転勤命令が権利の濫用にあたる場合
 転勤を命じられた労働者の生活上の不利益と、転勤命令の業務上の必要性(異動の必要性と人選の合理性)を総合的にみて権利の濫用に当たるかが判断されます。扶養家族の病状等の事情により転勤による不利益が通常甘受すべき程度を著しく超えるときは転勤命令が無効とされることがあります。






 

裁判員になったら会社休めるの?
来年始まる「裁判員制度」。裁判員に選任されたら会社は休めるのですか。

 

 

 
 
  2009年5月までに一般人が刑事裁判の審理に参加する「裁判員
制度」が始まります。
 裁判員に選ばれるのは選挙権のある人すべてで、ひとたび選任されれば数日間は地方裁判所に通わなければなりません。突然選ばれて仕事の都合がつかない人もいるでしょうが、裁判員を辞退できるのは「自分が処理しなければ著しい損害が生じる重要業務がある場合」に限られています。仕事の状況にかかわらず会社を休む必要が出てくる可能性があります。
 この休みをどう取り扱うか、企業の対応は分かれています。法律は、企業が裁判員に選ばれた従業員を不利益に扱ってはならないと定めていますが、休暇の扱いまでは定めていません。
 大半の企業は「公務のための休暇」とみなし、欠勤扱いにする企業は少ない見通しです。ただ、休んだ日に賃金が払われるかは判断が分かれるところ。
 実際には裁判所から日当が払われることを理由に無給とする企業もあるとみられます。勤める会社の人事担当者や上司にあらかじめ、自分の会社の制度を確認しておく必要があるでしょう。







 

遅刻
罰として賃金カットされる場合とは?

 

 

 
 
 まず、遅刻をして働かなかった時間については、ノーワーク・ノーペイの原則により当然のことながら賃金はもらえません。
 では、これとは別に、罰則として、働かなかった分以上に賃金をカットできるかどうか?。
 答えは、出来ます。
 ただ、これは懲戒処分にあたりますので、実行するにはいくつかの制約があります。

 ①就業規則に懲戒の事由とその処分内容が定められている。
 ②懲戒事由に対して処分が妥当である。
 ③本人に弁解の機会が有り、他の従業員との扱いが平等である。

といったことが求められます。
 さらに、賃金カットの額は労働基準法により制限されています。

 ①1回の減給額は、平均賃金の半日分以下
かつ
 ②1ヶ月に複数回の減給をする場合であっても1ヶ月の減給総額は、  月給の10分の1以下

でなければなりません。①と②とは、両方満たさなければならないことに注意してください。

 遅刻にまつわる別の話題で、例えば、所定労働時間が8時間の会社で、1時間の遅刻をした従業員が残業したら、残業代は必要でしょうか?。
 1日8時間を超えて働いた場合には、労働基準法により、25%の割増賃金を加算した時間外労働手当を支払わなければなりません。
 上記の例では、1時間残業しても、1時間遅刻していたのであれば、8時間を超えて働いていないので、25%の割増賃金は発生しません(通常部分の賃金は発生します)。
 ただし、8時間を超えて働いた場合は、時間外労働手当を支払わなければなりません。


 

 企業内人事異動の場合、本人の同意は必要か?
企業内人事異動の場合には、会社の都合で本人の同意なく転勤・配転を命ずることができますか?

 

 

 
 
会社内人事異動の場合は、会社に裁量権がありますが、権利の濫用になる場合は、配転・転勤命令は無効となってしまいます。
 会社の人事担当者が注意しなければならないポイントは、次の4点です。

 ① 業務上の必要性のあること
 ② 人選の合理性
 ③ 手続きの正当性
 ④   労働者にとって著しい不利益のないこと

 特に④の「労働者にとって著しい不利益」については、日本ステンレス事件では、両親ともに寝たきりに近い状態になり、当該従業員しか世話をする者がいない場合に単身赴任を強いるような異動を命じることは、著しい不利益にあたるとして新潟地裁は無効と判断しています。
 また、育児・介護休業法26条で、就業場所を変更することが子の養育または家族の介護を行うことを困難にする場合は、その労働者の子の養育または家族の介護の状況に配慮しなければならないと定めています。






休日 出張した場合の休日手当の支払いは?
当社は海外出張があり、行き帰りの渡航で2日かかるのですが、たまたま休日にあたり、会社はこれを休日労働として認めてくれません。法律的に問題はないのでしょうか?

 

 

 
 
 出張の移動時間は、残念ながら、労働時間ではありません。
 労働時間にあたるかどうかの判断は、使用者の指揮命令下に置かれているかどうかで決めます。例えば、通勤時間はまだ指揮命令下に入っていないので、労働時間にはなりません。
 出張の移動時間も、移動中は新聞や雑誌を読んでも、居眠りしても、弁当を食べても、基本的に自由です。指揮命令下にないので労働時間にはカウントされません。出張で休日に異動したとしても、休日労働にはなりません。
 例外として労働時間になるのは、移動に際して会社の指示や命令が特別にある場合です。例えば、商品や現金などを運んだり、移動中に物品を監視したりと運搬自体が仕事の時。移動中に書類を作るよう命じられたり、作らざるを得ない状況に迫られたりした場合も、労働時間と認められるでしょう。
 ただし、移動時間とはいえ、特定の時間までに特定の経緯で行くことが義務づけられるという不利益を従業員に負わせることに対し、実際には多くの会社が出張手当を支払っています。








退職の撤回は可能か?

 
退職届けを人事部長に提出した従業員が、5日後に「気が変わった」という理由で、退職を撤回すると言ってきました。この場合、どのように対応したらよいでしょうか?

 

 

 
 
退職の意思表示として取り扱い、撤回を認める必要はない。

 ①労働契約の終了
 労働契約が終了するには、労使当事者の合意による場合と、一方当事者による解約による場合があります。
 合意による労働契約終了とは、一方当事者による労働契約終了の申し込みと、他方当事者による承諾とにより成立します。退職金上積みなどの条件付きで使用者が希望退職者を募集し、労働者がこれに応じる場合が、これに該当します。
 一方当事者による解約のうち、労働者によるものは辞職の申し出です。期間の定めのない場合には、原則として2週間の経過により労働契約終了の効果が法律上生じます。使用者によるものは解雇です。労働者に非違行為があることを前提とする懲戒解雇と、必ずしも前提としない普通解雇とに区分されます。整理解雇は普通解雇の一つです。

 ② 意思表示の瑕疵
 労働者の合意退職の申し込みまたは辞職の申し出に関して、意思表示の瑕疵が問題となることがあります。具体的には、法律上の無効・取り消し事由である心裡留保、錯誤、詐欺・強迫に該当するかが問われます。
 心裡留保とは、労働者が真意ではないのに退職の意思表示をした場合に、使用者が真意でないことを知っていたまたは知ることができたときには、この意思表示を無効とするものです。
 錯誤とは、退職の意思表示に内心と表示の不一致があった場合で、労働者に重大な過失がないときに、この意思表示を無効とするものです。
 詐欺・強迫による退職の意思表示は取り消すことができます。
 もっとも、実務的には、これらの意思表示の瑕疵を理由として退職の意思表示が無効・取り消しとなることは、あまり考えられません。
 裁判実務では、退職の意思表示として認められるほどの確定的な意思が労働者にあったかが重視されているようです。
 なお、退職勧奨は意思表示ではなく事実行為ですから、退職勧奨自体については不法行為の損害賠償の問題が生じるだけです。退職勧奨に応じた辞職の申し出や合意解約の申し込みについて取り消し・無効が主張されることがありますが、よほど勧奨の態様が悪質でない限り、実務的には認められないでしょう。

 ③ 意思表示の撤回
 意思表示の瑕疵とは別に、一定期間は労働者が退職の意思表示を撤回できるとの考え方もあります。しかし、民法627条1項は、使用者が承認しなくても、労働者の辞職の申し出から2週間経過すれば労働契約が終了する効果が生じることを規定するだけです。この2週間以内であれば撤回できることを認めるものではありません。
 むしろ、民法の規定からすれば、撤回をすることはできません。使用者に到達してしまえば、辞職申し出の意思表示は完結します。到達後は意思表示の瑕疵を主張できるだけとなります。このため、裁判実務では、辞職申し出の相手方を限定的に考えることで、到達していないと構成して妥当な結論を導いています。
 もっとも、合意解約の場合には、使用者の承諾がなされる前には、労働者は申し込みを撤回できます。このため、使用者は、合意解約に応じる場合には、すみやかに承諾の意思表示を行う必要があります。

 ④ 退職届けの重要性
 退職に関しては、法的には明瞭ですが、実際には紛争が耐えません。退職届や退職承認書は法的には不要ですが、紛争予防のためには不可欠のものといえます。人事部長ら責任者との意思確認の面談も適当です。
 労働契約終了という大きな」効果があるだけに、相互に意思を確認することが意義を有します。