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 妻と共働きの20代の会社員。1歳の長男を自宅近くの保育園に自転車で送ってから最寄り駅に向かっている。ところが、長男を預けた後、交通事故に遭いけがをしてしまった。通常の通勤経路を外れているが、労災とみとめられるだろうか。

 


 
 
 保育園に入ることができない待機児童は増加傾向で、経済情勢の悪化や雇用不安などから、共働きを始める家庭も増えている。通勤時に子どもの送迎をしている親も少なくない。
 労働者災害補償保険法(労災保険法)では、業務上だけでなく、通勤中のけがなども保険給付の対象をしている。「通勤」は「合理的な経路及び方法により行うこと」とされており、基本は住居と就業場所との往復。途中で経路を外れたり、通勤と関係のないことを行ったりした場合は「逸脱・中断」とみなされ、通勤途上とは認められない。
 ただ、例外もある。経路上の店での雑誌の購入といった寄り道なら「逸脱・中断」とはみなされない。
 また、厚生労働省の通達は「ほかに子どもを監護する者がいない共働き労働者が託児所などに預けるための経路は、就業のためにとらざるを得ない経路」としている。今回のような子どもの送迎は寄り道や遠回りにはあたらず、事故に遭っても労災と認められる。
 ただ、妻が専業主婦などほかに子どもを送迎できる人がいると「合理的とみなすのは難しい」(厚労省労災補償部)。いつも送迎している人が病気などのため代わりに行った場合は「その日の状況で判断する」(同)としている。
 経路を外れた場合でも、「日常生活上必要な行為」でやむを得ない理由があり、最小限であれば、「逸脱・中断」の間を除いて通勤と認められる。厚労省令では「日用品の購入」などを挙げている。
 介護はどうなるか。2006年4月の大阪地裁判決は、介護のために養父宅に寄ってから帰宅する途中に事故に遭った男性について「近親者に対する介護で、日常生活上必要な行為をするために通勤経路を外れた」と指摘。「通勤途中の災害」と認めた。
 労災問題に詳しい今津幸子弁護士は「自宅と職場の往復から外れた場合でも通勤と認められる例はある。ただ、子どもの送迎なら家族形態や保育所に立ち寄っていた時間、介護の場合は要介護度など、状況で判断が異なることもあり、注意が必要」と話している。(日経新聞-労働問題-)