就業規則サポートNO1サイト

派遣・中小社員 雇用悪化しわ寄せ

         
               「最初に切られ格差痛感」


 景気減速が鮮明になり、雇用環境も悪化してきた。とりわけ、正社員に比べ企業の人員調整の対象になりやすい派遣社員や、経営が苦しい中小企業の社員ら、弱い立場の労働者にしわ寄せが出始めている。
 
 「社員と同じように何年も働いてきたのに、こんなにあっさりと切られるなんて、ひどすぎる」自動車部品メーカー、ボッシュの富岡工場(群馬県)で働く男性派遣社員(45)は、突然の契約解除に憤る。

 請負契約で働いていた時期を含め、同工場で4年近くトランスミッションの部品の洗浄を担当してきた。だが、7月29日、派遣会社から呼び出され、8月末での契約解除を通告された。男性を含め、対象は同じ製造ラインで働く約10人。9月末の契約期限を前倒しする中途解約だった。

 男性はすぐに、派遣社員でつくる労働組合に相談し、ボッシュ側に団体交渉要求。今月7日、ボッシュ側は、北米の自動車販売が不振で、減産対象の部品は7月の生産量が昨年の3分の1ほどに減っており、人員整理に踏み切らざるを得ない、と説明したという。「結局、最初に切られるのは僕たち派遣社員なんだと、格差を痛感しました」。就業先のあっせんを求めているが、次の仕事のめどはたっていない。

 派遣社員を大量に受け入れてきた自動車業界では、トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)も6月と8月の2回の人員調整で、派遣社員計800人の契約を解除。輸出の6割を占める北米の景気減速に伴う減産が主な理由だ。

 こうした動きは、輸出に頼っていた製造業全体に広がりつつある。製造派遣大手の日研総業は「今年に入り派遣の依頼は前年より1~2割少ない状態。7月からは解約も出始め、派遣稼働人数が減ってきた」という。厚労省幹部も「従業員に占める派遣社員の割合が増えているので、前回の景気後退期より速いテンポで失業者が増え始める可能性がある」と警告する。
 
 資源高で経営が苦しい中小企業は、さらに深刻だ。関東地方のある運送会社は7月、トラック運転手約20人の給料を月20数万円の月給制から時給800円の時給制に変更した。昨年、営業エリアの排ガス規制が厳しくなり、借り入れでトラック5台を買い替えたが、原油高で借金の返済計画が狂い、資金繰りが悪化。人件費を切り下げるしかなかったという。しかし、その後も業績は回復せず、結局、今月中旬に廃業。従業員は全員失業した。

 中小企業が多い食品業界も穀物価格の高騰などで厳しい経営環境が続く。食品会社の労組でつくるフード連合は「中高年層を対象にした希望退職の募集など、人員調整の動きが出てきた」と警戒感を強めている。

 厚生労働省が7月、全国の中小企業(従業員300人未満)4412社を対象に実施した緊急調査では、原油高などで賃金調整や雇用調整に踏み切った企業は全体の12.5%に上った。内訳をみると、希望退職の募集(3.3%)や解雇(3.4%)はまだ少ないが、賞与や賃金を切り下げた企業は57.0%。従業員の過不足感を示す雇用DIは正社員はマイナス(不足)だが、派遣社員はプラス(過剰)で非正社員の再契約停止が17.8%に上っている。             
                                                          (20.8.27 朝日新聞-労働問題-)