名ばかり管理職①
5月半ば、東京都内で労働組合主催の「名ばかり店長集会」が開かれた。壇上には、日本マクドナルド訴訟の原告の高野広志さん(47)らと並び、紳士服販売大手コナカ(本社・横浜市)の仙台泉中央店店長、高橋勇さん(44)の姿もあった。入社20年。「ずっと会社に忠実な『コナカマン』でした」と言う。
9年前、初めて店長になった店に正社員は2人だけ。連日午前8時半から午後9時すぎまで働いたが、「管理監督者」とされ残業代はつかなかった。客が少ない時は近くの商店街にセールスに出かけ、売り上げの足しに自腹でスーツを買うのは当たり前だった。「会社あっての我々と思ってましたから」
過重労働に悲鳴をあげた社員らがブログで連絡しあい、昨年2月、組合を結成。高橋さんも加入した。組合員らが労働基準監督署に申告し、コナカは昨年6月、是正指導を受けた。10月には店長約300人を管理監督者から外した。紳士服業界で初の「見直し」だった。
しかし、過去の残業分の支払いは拒否している。「残業は指示していない。あなたたちが自主的にやったんだ」。交渉での会社側の言葉が高橋さんの背を押した。今年4月、過去2年分の残業代670万円の支払いを求めて労働審判を申し立てた。
「見直し」では人件費増を抑えるため、店長の手当を6万円分カット。その分はみなしの残業代に当てられた。見直し以降に店長になった人は、役職手当は半額。実働分の残業代がつくが、手取りは少ない。
閉店後、夜行バスで横浜の審判に通う。審判を申し立てたため店長の飲み会に呼ばれず、孤立感もある。それでも笑顔で「今でも会社、好きですよ」。ただ、まじめに働いた人間に誠実に向き合う会社であってほしいと思っている。(20.7.10 朝日新聞ー労働問題ー)


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