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解雇問題Q&A

解雇予告と同時に休業命令、賃金補償は6割でいい?

入社後の雇入れ時の健康診断で異常が発見された時、解雇ができるか?

退職勧奨の許容範囲

採用後に最終学歴詐称が発覚、解雇は妥当か?

従業員の解雇について 

整理解雇の必要性が生じた場合の要件は?

1年の雇用契約を途中で解約(解雇)したいが、予告すれば可能か?

出向先で解雇を言い渡されたが?

試用期間中は自由に解雇できますか?

入院中に解雇を通告されたが?

整理解雇する場合のポイントは?







 

会社から解雇予告を受けたと同時に休業(賃金6割)を命じられました。
解雇予告なら30日分の賃金を受けるはずなので、違法ではないでしょうか?

 


 
 

従業員を解雇する場合(労働基準法第20条)は通常、以下の方法があります。
①30日前に予告するか、30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払う。
②予告と解雇予告手当の併用(例:10日前に予告し、20日分の平均賃金を支払う)をする。

会社が休業を命じた場合、民法536条第2項に賃金請求権が確保されており、労働関係が存続しているので、労働基準法第20条の違反(6カ月以下の懲役または30万円の罰金)ではないとされています。
よって、休業の代わりに30日分の解雇予告手当の支払いを求めても認められないでしょう。

賃金請求権の行使ということで、100%の賃金と60%の休業手当の差額を裁判で請求可能ですが、民法上の請求が認められないケースも有り得えます。






 

 入社後の雇入れ時の健康診断で異常が発見された時、解雇ができるか?

 


 
 
  この問題も正当な解雇理由になるか否かに帰着する。したがって、当該疾病が従事する業務に影響を与えるようなものであれば、正当な理由になる場合もあると考えられる。採用のための健康診断書を取っておけば、このようなことは防ぐことができる。






 

 退職勧奨の許容範囲
 当社では業績の悪化に伴い、今後退職勧奨を行おうかと考えています。できの悪い従業員だけ勧奨したいのですがトラブルは起こしたくありません。退職勧奨はどの程度のレベルまで許されるのでしょうか?

 


 
 
  退職勧奨は、最終的には本人の任意の意思に基づいた退職とする必要があります。半強制的だったり執拗な勧奨は不当とされ、退職そのものが無効とされることもあります。

(解説) 退職勧奨は、いわゆる「肩たたき」と称され、以前から広く行われてきました。解雇では角が立つので形のうえでは任意退職にするという中間的な存在で、いかにも日本的な方法といえます。
 実際の運用では、懲戒解雇に代わり温情的に任意退職とさせるもの、リストラの一環として行うもの、定年間近の削減策として行うもの等があります。完全に違法ですが、組合潰しとして行われることもあります。








 

 採用後に最終学歴詐称が発覚、解雇は妥当か?
 就職する際に大学中退の経歴を高卒と偽って採用試験を受けていた30代男性。入社後に大学中退の経歴を隠していた事実が発覚。人事担当者から「就業規則違反で解雇処分に該当する」と言われた。全くウソの学歴を申告していたわけでもなく、解雇処分には納得できないと憤る。この場合、解雇は妥当か?

 


 
 
  一般に採用試験の受験者は、学歴や職歴などを記載した履歴書を提出する必要がある。履歴書は能力や適正の判断材料になるので、正確に記載しなければならない。ところが「経歴ほどの実力がない」などの理由から、自らの学歴を低く申告するケースもある。志望者側が「高校を卒業したのは事実で、全くウソというわけではない」と考えがちなのも、こうした経歴の詐称につながっているようだ。学歴を高く詐称するのではなく、低く詐称するのならば問題はないのだろうか。労働法実務に詳しい嘉納英樹弁護士は、学歴を高く詐称するか低く詐称するかに関係なく、虚偽の学歴を申告する行為自体が問題と指摘。「最終学歴の詐称は重要な経歴詐称とみなされ、解雇処分になる可能性が高い」と話す。

 公務執行妨害罪による逮捕をきっかけに、大学中退の最終学歴を高卒と偽っていた点が明らかになった社員の懲戒解雇の是非が争われた裁判で、東京高裁は1991年、「最終学歴は労働力評価や企業秩序の維持に関する事項であり、真実を申告する義務がある」との判断を示している。過去の裁判例をみる限り、最終学歴の詐称は重要な経歴の詐称に当たり、懲戒解雇になる可能性が高い。犯罪歴はどうか。東京高裁の懲戒解雇を巡る裁判では、社員が採用時に刑事裁判の公判中で保釈中であったことも明らかになった。

 会社は「勤務への影響などを判断する必要があるから、刑事事件の公判中であることを会社に告知すべき義務があった」と主張したが、裁判所は「公判継続の事実について積極的に申告すべき義務があったといえない」と判示し、会社の主張を認めなかった。

 採用ルールなどを定めた職業安定法は、採用目的に必要な範囲で求職者の個人情報を収集しなければならないと規定する。「犯罪歴は能力と適正と無関係。本籍や親の資産状況と同じように必ずしも申告しなくてもよい」(嘉納弁護士)が、学歴詐称は問題となるので注意したい。






 

 従業員の解雇について

消費者金融から会社に電話が頻繁にかかってくる従業員を解雇できるか。また、賃金を差し押さえられた場合はどうしたらよいか?その場合解雇できるか?

 


 
 
 
賃金の差し押さえについては、債権者に支払うか、又は供託することになる。ただいずれにしてもこの程度では正当な解雇理由にはならない。





 

 整理解雇の必要性が生じた場合の要件は?

 


 
 
 整理解雇とは、経営上の理由により、事業の廃止または縮小をしなければならない事情が発生した場合に、やむを得ず労働者に対して行う解雇のことをいい、普通解雇の一つといえます。
部門や支店など企業の一部が閉鎖され、従業員が解雇されるのも、その一例です。

この整理解雇は、従業員側に何の非もないのに職を失い、収入源を絶たれるという大きな打撃を受けます。

よって解雇の中でも最も強い正当理由が要求されるといわれています。整理解雇が有効となるための要件としては、次の4つがあげられています。

すなわち

①経営上、人員削減の必要性があること

②残業時間の制限、経費削減や新規採用の停止など、解雇を回避するため努力を尽くしたこと

③解雇される者の選定基準が合理的であり、かつ、適正に適用されたこと

④整理解雇の必要性や内容について従業員に説明、協議する義務を尽くしたこと






 

1年の雇用契約を途中で解約(解雇)したいが、予告すれば可能か?

 


 
 
 1~5年の契約とすると基本的にはその期間の雇用を保障することになり、やむを得ない事由以外の会社側の事由により途中で解雇(契約解除)する場合は残期間の賃金保証の問題を生ずるので、それを踏まえた上で契約期間を設定すること(民法第628条、第541条)。また、同じ理由で労働者の一方的な退職も損害賠償の対象になる。

 なお、平成16年1月施行の労基法では、1年を超える期間の契約を締結した場合は、1年経過後は労働者からの契約解除(退職)は民法の規定にかかわらずできることとなっている。(3年後に再検討。)
 1年の雇用契約が「雇用保証(保障)期間」と解釈される場合は、労基法第20条の手続きと正当な理由があれば解雇可能である。




 

出向先で解雇を言い渡されたが?
 関連会社に出向した30代の社員。慣れない仕事でやる気が出ず、職場でトラブルを起こしてしまった。上司に「業務に重大な支障が出ているので、辞めてもらえないか」と言い渡された。籍を置いていない会社に解雇されるのはおかしいと思うのだが?

 


 
 
 権限を持つのは出向元

ポイント ①出向先が持つのは、日常業務に関する指揮命令の
                  権限                                                                                                                                                                           
      ②解雇するには出向を解き、出向元が対応する。



 出向は転籍と違い、元の会社に籍を残したまま関連会社や取引先などで労務を提供することをいう。出向先の企業には日常の業務に関する指揮命令の権限はあるが、解雇権はないとされる。
 そのため、「受け入れた社員に問題がある場合は、会社は出向元に相談し、出向を解いてもらうしかない」(労務問題に詳しい弁護士)。出勤停止や減給など、解雇以外の懲戒処分の権限については出向先が持つことが多いが、場合によっては出向元が持つことや連名で行うこともあるようだ。
 通常は出向元と出向先の間には、業務に支障が出た場合などは、期間の途中でも社員を戻すことができるとの取り決めがある。
 戻すこと自体は、「すぐに出向元での社員の身分が失われる訳ではないので、労働者保護の観点からの制約はない」(労務問題に関する企業アドバイスを手がける弁護士)という。戻した社員について、注意や指導をするか、解雇するかは出向元が改めて判断することになる。
 出向先で起こした不祥事を理由に、出向元が社員を処分することができるかどうかについては、裁判例がある。1984年2月の静岡地裁沼津支部の判決では、出向先で決められた作業に従事しなかった従業員に対する、出向元による懲戒解雇が認められた。
 「出向先での勤務態度は実質的には出向元での勤務態度と同視して評価できる」とし、出向を解除したうえで懲戒解雇をすることは許されると判断した。
 とはいえ、出向先での部下に対する注意義務違反などについては、出向元の企業秩序に及ぼす影響が間接的にとどまるとして、解雇を認めなかった判決もある。結局、出向元による処分の妥当性は「両者の関係の深さや、不祥事が出向元に与えた影響の大きさなどを考慮して決めることになる」(労務問題に詳しい弁護士)ようだ。
 なお、社員の側から退職を希望する場合も、退職届は就業規則などに定められた手続きに従って出向元に出すことになる。







 

試用期間中は自由に解雇はできますか?

 


 
 
 解雇する場合は30日以上前に予告するか又は、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。(平均賃金を支払った日数分の予告期間が短縮される)
試用期間中でも自由に解雇は出来ません。但し、採用ミスに気づいて、辞めさせたいのであれば、入社後14日以内であれば解雇の予告も予告手当も必要ありません。14日は、労働日ではなく暦日です。つまり、会社の休日も含めます。
 とはいっても、好き勝手に解雇はできません。客間的に合理的と認められる社会通念上相当でなければいけません。






 

入院中に解雇を通告されたが?

 交通事故に遭い、現在治療中です。入院1ヵ月後に、契約社員として働く勤務先から契約解除を通告されました。入社する際、健康で意欲がある限り契約更新して働ける、という説明を受けましたが、まだ会社の業務に復帰できる状態ではありません。解雇を受け入れるしかないのでしょうか?

 

 


 
 
合理的理由なければ解雇は不当  

 
労働基準法では、労働者保護の立場から、一定の事由にあたる場合は解雇できないとする「解雇制限」が定めてあります。さらに判例上では、合理的理由のない解雇は、使用者の解雇権の濫用であり、無効とされています。
 契約社員ということですが、基本的には正社員の場合と同様に考えていいと思います。
 事故が業務上で発生した場合、「負傷の療養のため休業する期間及びその後30日間は解雇できない」(労働基準法19条)とする法律上の解雇制限事由にあたるため、解雇は無効ということになります。
 交通事故が私的に起こったもので労災と認められない場合は、一見解雇ができるように思われます。しかしこの場合にも、直ちに解雇が認められるわけではありません。
 会社の就業規則に、「業務外の傷病により ヵ月以上欠勤した場合に休職を命じ、休職期間が満了しても休職事由が消滅しない場合に解雇することができる」という趣旨の規定があるのが一般的です。このような規定がある場合には、すぐには解雇できないことになります。
 仮にこのような規定がない場合には、合理的理由があれば解雇できることになりますが、その判断は個別の具体的な事情によって異なります。まだ職場に復帰できていないとしても、入院1ヵ月の段階で復帰の具体的な見通しが立っている場合であれば、解雇の正当性には問題があると思います。また、復帰してすぐに従来と同様の仕事がこなせないとしても、会社は適切な業務への配置換えをするなどして対応すべきだと考えられます。しかし、事故の態様、当該社員の業務内容、会社の規模などの事情によって判断が異なる可能性もあります。

場合によっては加害者への損害賠償請求も

 ところで、契約社員とは有期雇用契約により雇用期間が定められた社員のことで、契約期間中の解雇は、やむを得ない事由がない限りできないことになっています(民法628条)。その意味では、正社員より解雇が制限されていると言えなくもありません。ただ、解雇が制限されるとしても、雇用上の地位は原則として契約期間が終了するとともに消滅することを正しく認識しておく必要があります。
 なお、交通事故の加害者がいる場合、事故による負傷を理由とした解雇が有効であるとすれば、事故との因果関係が認められる可能性は高いでしょうから、加害者が加入している自賠責保険や加害者に対する直接請求により、休業損害などが補償される可能性があります。







整理解雇する場合のポイントは?

次の4つの整理解雇の要件で特に注意を払う必要があるポイントはありますか?
①経営上、人員削減の必要性があること
②残業時間の制限、経費削減や新規採用の停止など、解         雇を回避するため努力を尽くしたこと
③解雇される者の選定基準が合理的であり、かつ、適正に適用されたこと
④整理解雇の必要性や内容について従業員に説明、協議する義務を尽くしたこと

 

 
なかでも、支店や部門の閉鎖では、②の解雇回避努力義務がよく焦点となります。
解雇される従業員はたまたま配属された職場がなくなるわけです。本人に責任はないのですから、会社としては、解雇は最後の手段として、他の部門へ配転や出向などさせて雇用を続けられるように努力する義務があります。

*過去には、大手企業が赤字部門だった地方営業所を閉鎖し、女性社員を整理解雇した裁判例があります。
会社は関連会社に転籍を打診しましたが、高い賃金体系を理由に断られました。

そこで、勤務地を限定した「地域職」だった女性社員を、限定しない「総合職」へ転換し、転勤させることを打診したら、本人が断ったため解雇しました。

判決は、①、③、④の要件は満たすが、②で重大な違法性があるとして、解雇無効としました。
転籍の打診にあたっては、関連会社が受け入れ可能な労働条件を真摯に検討して提案することもできたはずだった、また、総合職への職種転換の提案は、家族を抱えた社員がそもそも応じる可能性が低いことは明らかだった、などと指摘。

社員はローンなどを背負い失職の打撃が大きく、一方で会社は雇用を続ける経済的余力が十分あり、解雇回避に最大限の努力をすべきなのに真剣に取り組まなかった、と判断したのです。