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残業問題Q&A

みなし労働時間の時間外労働割増賃金

1年単位の変形労働時間制を年度途中でやめて、原則的な労働時間制に戻すことはできるか?

残業時間を積み立てて休日と相殺できるか?

残業60時間を超えると5割以上の割増賃金

待機時間の残業手当は?

1時間遅刻してきた労働者に、その日1時間残業させると、割増は必要か?

直行直帰で仕事をした場合の残業手当の支払いは?

残業手当てを定額で支払うことはできないか?

 年棒制を採用している場合の割り増し賃金の支払いは?

残業時間を計算するのに面倒なので15分か30分単位で四捨五入したいと考えています。問題ありますか?

1ヵ月の残業時間に上限を決めることはできないでしょうか?

振り替え休日した日に出勤した場合の取り扱いについては?

残業時間を労働者の自己申告制にしたいのですが?

当社では1時間単位でしか残業時間を認めていませんが問題ありますか?


 

みなし労働時間の時間外労働割増賃金
 1日の所定労働時間が8時間で、10時間のみなし労働時間の適用をしている営業社員が、1日中内勤の仕事をして所定の8時間で終了した日についても、1日10時間とみなして時間外労働割増賃金を支払わなければならないのか?

 

 
 1日中内勤であれば、みなし労働時間制を適用する余地がない。





 1年単位の変形労働時間制を年度途中でやめて、原則的な労働時間制に戻すことはできるか?

 

 
 法律上の規定はないが、年度途中で入・退社した場合、その期間の所定労働時間が週平均40時間を超えた場合働きすぎたことになるので、週40時間を超えた分については時間外労働として割増賃金を支払って精算する必要があるのと同様に、精算すれば問題はないと考えられる。
 なお、その期間の所定労働時間が週平均40時間を下回っていた場合に、支払った賃金からその分を返還させることはできない。





 残業時間を積み立てて8時間となった場合にその分を休日を与えて相殺することは違法か?

 

 
  残業時間を積み立てて8時間になった為、1日休日を与えて残業時間と相殺することは違法。残業には残業手当を支払わなければならない。





 改正労基法の「時間外労働が60時間を超えた場合」の解釈で、質問があります。時間外労働のカウントには、一般に休日労働時間数は含みません。「法定休日、法定外休日の違いに係わらず、3割5分増しの割増賃金を支払う」と定めた場合、法定外休日労働の取扱いはどうなるのでしょうか?

 

 
 平成22年4月1日施行の改正労基法第37条第1項ただし書きでは、「延長して労働させた時間が1か月について60時間を超えた場合においては、5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と規定しています。(中小企業は当分の間、適用猶予)
  時間外・休日労働(36)協定では、「延長することができる時間数」と労働させることができる休日数」を別に定めます。 協定様式の記載心得では、休日欄に「労基法第35条の規程による休日であって労働させることができる日を記載する」よう注意を促しています。
  ただし、「延長時間に休日における労働時間を含めて協定する」ことは可能とされています。(平11・1・29基発第45号)
 時間外労働数と休日労働数を別に定めている場合、「休日労働に該当した労働時間の中に入れて計算することはない。ただし、ここでいう休日労働とは法定休日労働である」(安西愈「採用から退職までの法律f実務」)と解釈されます。
 改正法により、時間外労働が60時間を越えると5割り増し以上の割増賃金の支払いが義務付けられます。法定外休日労働が発生した場合、「法定休日労働の3割5分増しの賃金を払う」ことで、時間外労働の一部を休日労働のカウントに含めることができれば、賃金負担を軽減できます。
 しかし、解釈例規(平21・5・29基発第0529001号)では、「労基法第35条に規程する週1回または4週4日の休日(法定休日)以外の休日(所定休日)における労働は、それが法定労働時間を越える場合には時間外労働に該当するため、1ヶ月について60時間の算定対象に含めなければならない」とクギを指しています。
 法定外の休日について3割5分増し以上の割増賃金を支払う」と協定で定めても、「法定休日」の日数は増えません。





 
待機時間の残業手当は?

所定労働時間終了後、会議に出席するよう労働者に命じたが、会議開始時間まで時間が数時間あるため時間をつぶさせたが、残業手当はどのように支払うべきか。

 

 
待機している時間を休憩時間とみるか休息時間とみるか、又は手待時間とみるかによって異なってくるが、一般的には休憩時間又は休息時間と考えられる。したがって、残業手当の対象時間にはならないと考える。




 

1時間遅刻してきた労働者に、その日1時間残業させると、割増は必要か?

1時間遅刻してきた労働者に、その日1時間残業させたが、時間外割増賃金は支払わなければならないか。

 

 
総労働時間は所定労働時間に収まっているので、時間外割増賃金は不要である。






直行直帰で仕事をした場合の残業手当の支払いは?

自宅から直行直帰で建設現場の監督に行かせた場合、残業時間の把握ができないので、残業手当を支払わなくてもよいか。現実には多少は残業があるので、支払うとしたらどのように支払ったらよいか。

 

 
通常は、事業場外労働ということで、所定労働時間労働したものとみなすことになるので残業手当は必要ない。しかし、その業務を行うときは大抵残業が付きものであるという場合はその時間を含めて労働したものとみなすことになるので、労基法第38条の2第2項の「事業場外労働に関する協定」を締結して、「現場作業の日は1日9時間労働したものとみなす」ということにして、1時間分残業手当を支払うというのが合理的と思われる。






残業手当てを定額で支払うことはできないか?

 

 
定額で支払うためには①定額分が労基法第37条で定めた計算方法による割増賃金額を下回らないこと②そのため定額分を超える実績に対しては不足額を支払うこと、の2点が必要。したがって、割増賃金が定額であることを賃金規則に明示して周知し、毎月の実際の残業時間と定額残業分とを比較して不足している場合は差額を支払うという措置を講じる場合は可能。


 



年俸制を採用している場合の割り増し賃金の支払いは?

当社では、年俸制を採用しており、年俸額を12等分した金額を毎月支給しています。この場合、時間外労働手当等の割り増し賃金は、支払わなくても問題ないのでしょうか。

 

 
年俸制の労働者であっても、それだけで時間外労働手当等の割り増し賃金を支払わなくてよいわけではありません。ただし、その年俸制の労働者が、管理監督者に該当する場合には、時間外労働、休日労働の割り増し賃金の支払い義務はありません。

 労働基準法では、年俸制の場合に限りませんが、「監督もしくは管理の地位にある者」(管理監督者)に対しては、時間外労働、休日労働の規定は適用されないこととされています。年俸制は、管理監督者に対して適用されることが多いでしょうから、年俸制の労働者が、管理監督者に該当する場合には、時間外労働、休日労働の割り増し賃金の支払い義務はありません。
 ただし、管理監督者の場合であっても、深夜労働の割り増し賃金については、支払い義務があります。

 管理監督者とは、「一般的には、局長、部長、工場長等労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場に在る者の意であるが、名称にとらわれず出社退社等について厳格な制限を受けない者について実体的に判別すべき者であること」とされ、就業規則の規定や職制上の役付者であればすべてが管理監督者として認められるものではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様、賃金等の待遇面等から総合的に判断する必要があります。
 裁判などでは、かなり厳格に判断される傾向にありますので、管理監督者に該当するかどうかについては、注意する必要があります。

 年俸額に、あらかじめ時間外労働等の割り増し賃金部分を含めて支給する方法をとることがあります。それ自体は、違法ではありませんが、割り増し賃金部分が明確に区分されていることが必要となります。
 また、実際に行った時間外労働等の時間数が、あらかじめ定められた割増賃金部分に対応する時間外労働等の時間数を超える場合には、その超える部分について、別途、割増賃金を支払う必要があります。






残業時間を計算するのに面倒なので15分か30分単位で四舎五入したいと考えています。問題ありますか?
残業時間は1分単位で把握し、それに見合った残業手当を払わないと違反になるのですか。
賃金計算を簡便にするため15分単位あるいは30分単位で四舎五入することは認められないのですか。

 

 
時間外労働等の時間数の把握については、厳密に行うことが求められています
一方、割増賃金の計算に当たっての端数処理については、1時間当たりの賃金額に円未満の端数が生じた場合や時間外等の1ヶ月総労働時間数に1時間未満の端数がある場合に四捨五入することが認められています。
ただし、日々の時間外労働等の時間数を15分単位や30分単位で四捨五入することは認められておらず、切り上げだけが可能である。したがって、このような取り扱いに適合することが必要になります。




1ヵ月の残業時間に上限を決めることはできないでしょうか?
当社では、残業時間抑制のため、1月の残業時間に上限を設けて、社員がそれ以上に残業しても残業とは認めていません。
これを緩めれば、残業が益々増えることになります。
これからも続けたいのですが、労働基準法では何か問題がありますか

 

 
1月の時間外労働に上限を設けて、それ以上の時間外労働について時間外労働手当を支払わないことは、賃金不払いとなります。重要なことは、業務のあり方や業務推進体制を見直し、時間外労働を減らすことです。




振り替え休日した日に出勤した場合の取り扱いについては?
当社では、振り替え休日の制度があり、休日を振り替えることが時々あります。
その後業務の都合で、振り替えられた休日に社員に出勤してもらわなければならない時がありますが、この場合には休日手当を支払わなければなりませんか?

 

 
振り替え休日の場合、振り替えられた休日が休日となり、当該休日には休日労働手当を支払わなければなりません。




残業時間を労働者の自己申告制にしたいのですが?
労働時間管理については、かなり手間が掛かることから、当社では残業について自己申告制にし、残業時間の申告や残業代の請求などを労働者自身に委ねたいと考えたいと考えています。
このほかに、手間の掛からない効率的な方法があったら、教えてください。

 

 
労働時間の管理をすべて労働者に委ねようとするやり方はサービス残業の温床となるもので認められません。
時間外労働や休日労働を適正に把握し、これに基づいて、時間外・休日労働手当を支払うことは使用者の義務になります。

*使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法の原則は、使用者が自ら現認するか、又はタイムカード、ICカード等の客間的な記録を基礎とするかのいずれかです。
 仮に始業・終業時刻の確認・記録の方法が自己申告によらざるを得ない場合には、正確な労働時間の申告・把握を阻害する要因、例えば、部署ごとに残業手当の予算が定められていたり、残業時間の削減に関する社内通達が申告時間の上限を定めたものであるとの暗黙の了解があったりするなどの場合には、その解消を図る必要があります。また、正確な申告を行ったことに対し、不利益を受けることのないような配慮も必要です。




当社では1時間単位でしか残業時間を認めていませんが問題ありますか?
当社では、残業時間について、1日1時間以上の残業をした場合に限って残業と認め、残業手当を支払っています。社員からは、特に不満の声は聞かれませんが、問題がありますか。

 

 
法定時間外労働については25%以上の割増賃金の支払いが義務づけられており、時間外労働手当を支払わないことは、賃金不払いとして、労働基準法に違反します。
法定時間外に当たらない所定時間外に労働させた場合の賃金不払いについても同様です。

*法定時間外労働については、25%以上の割増賃金の支払いが使用者に義務づけられており、1日1時間以内の時間外労働について時間外労働手当を支払わないことは、賃金不払いとして、労働基準法に違反します。
 なお、法定時間外に当たらない所定時間外に労働させた場合には、「原則として通常の労働時間の賃金を支払わなければならない。ただし、労働協約、就業規則等によって、その1時間に対して別に定められた賃金額がある場合にはその(別に定められた賃金額で差し支えない)」とされており、この賃金を支払わない場合にも賃金不払いとなります。